私たちのすべての感情や行動は、イメージの影響を大なり小なり受けています。そんな私たちの性質を利用した「イメージ戦略」や「イメージトレーニング」の効果は、多くの人が既に経験で知っていることだと思います。そして現代、私たちは膨大な量のイメージに囲まれる状況で生きており、その重要性・影響力について考察することに大きな意義を感じています。
本展では、モデルハウスに架空の人物を登場させます。
モデルハウスは、多くの訪れた人に、自分がそこへ住む事を想像させる装置であり、そもそもたくさんの家を作るためのサンプルである事を考えると、モデルハウス自体がイメージだと言えます。
架空の人物は、イメージについての考察を経て、幾つかの箇条書きからイメージを膨らませたものです。
そこにイメージの入れ子構造が生まれます。この構造内ではイメージが何を指示しているのかが曖昧となり、イメージそのものが浮遊します。浮遊したイメージは使用方法もなくただそこに在るだけ、しかし何かを想起させます。それは促されたイメージでなく、自分の中から湧き上がる自由な発想と想像です。例えば、ある花を見た時に綺麗だと思うその心の中から、花は綺麗であるという刷りこみを取り除くと、そこには自由な発想と想像でつくられた自分だけのイメージが立ち現われてくるはずです。
それは本来イメージがもつエネルギーなのではないでしょうか?
「for example」というこの展覧会のタイトルは「例えば~という人がここに住んでいたら…。」という「例えば」の部分を取ったものです。自由な発想と想像で「例えば」を考えることは、イメージがもつ本来的なエネルギーを発見できる足がかりになると思います。